漬物 と 蒲鉾







蒲鉾作り

一年を通して作ることができる蒲鉾。材料は殆どがウグイである。
三枚下ろしにして皮を剥ぎ、出刃包丁一本で細かく叩き、後はすり鉢で丁寧にすっていく。

頑固な父のこと、擂り身を作る時に入れる調味料は塩と酒以外、認めなかった。
酒と塩を入れてしばらくすって、それから少しの塩を足すと粘りが出て、すりこ木が急に重くなる。

滑らかな艶が出て美味しい擂り身ができる頃には、腕も肩も凝って結構くたびれる作業である。
子供の頃から手伝っていて、すりこ木を使うのは今でも私の得意技。


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出来上がった擂り身は火を通して蒲鉾になるのだが、
フライパンいっぱいに敷きつめ、弱火でかなりの時間をかけて焼き上げる。
もう一つの作り方は、粗微塵のタマネギを加えて小判型に形を整え、油で揚げる薩摩揚げふう。

どちらも同じように美味しかったが、母の側で手伝いながら、
ぺったんこの薄い揚げ物を作って貰い、熱々を食べるのが大好きだった。




できた擂り身が少しの量だと、
一口大にしたものをポトンポトンと鍋に落として
味噌汁だったり、吸い物だったり
美味しい汁ものになる。







秋遅く、鮭の飯鮨を作る

津軽の浜辺の食生活を語る時に無くてはならないのは飯鮨である。
春先のウグイの早鮨は、酢と塩でしめた切り身をだし昆布の間に並べ、重しをかけて数日でできる。

写真は早鮨ではなく、本格的な鮭の飯鮨を作っているところ。
鮨四十日と言って、漬け込んでから食べられるようになるまで40日以上かかる。





たくあん漬けの準備


どこの家でも冬に備えての漬物を漬ける
大根・白菜・赤カブ・等々

大根を洗う母の上に細長く干してあるのは
ハゼの丸干しで、出汁をとったり
そのままおやつに食べたり

淡白で上品な美味しさがある。






春先の漬物樽洗い

春になり、雪解けが進む頃には漬物の樽も空いてくる。
家から湖に運んで、洗うのは父と母の共同作業。



夏も冬も一年を通して食卓に漬物がない時は無かった。
今でも漬物は好きだが、昔のようにキリリとした塩加減の漬物は、減塩傾向で少なくなったようである。

20代から30代にかけて、漬物も魚の飯鮨もよく作っていたが現在では殆ど作ることが無くなった。
母の味に近づきたいと思うこともあったが、中々大変な作業で、早々に諦めた。

母の味  「鮭の飯鮨 」



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